強迫性障害の症状が強かった頃、夫は、それまでできていたことにも大きな負担を感じるようになりました。
妻はその姿を見るたびに、
「この先、どうなるんだろう」
と不安になっていました。
ところが最近、日々の何気ない場面で「少し変わってきたかもしれない」と感じることが増えています。
振り返ってみると、何か一つの出来事をきっかけに急に変わったわけではありませんでした。
夫の中に少しずつ増えていったのは、
- 一人でできた
- 最後までやれた
- 疲れても休んで立て直せた
- 誰かに喜んでもらえた
という、小さな成功体験でした。
その一つひとつが、「自分にもできる」という感覚につながっていったように妻は感じています。
※この記事は、我が家での体験を妻の立場から振り返ったものです。症状や治療の経過、生活の中で負担に感じることは人によって異なります。
一人で通院できたことが、次の自信になった
以前の夫にとって、一人で病院へ行くことは大きな負担でした。
通院しても不安が軽くなったと感じられず、薬を受け取って帰るだけのように思えていた時期もありました。病院へ行くこと自体が、気持ちを重くしていたようです。
現在の主治医とは、自分の状態を話しながら今後について相談できるようになりました。夫にとっては、「自分のことを自分で説明し、次にどうするかを考えられた」という経験になったのだと思います。
今では、往復に長い時間がかかる通院を一人でこなし、その途中で外食をして帰ってくる日もあります。
もちろん、通院できたから症状がなくなったということではありません。それでも、
「一人で行って帰ってこられた」
という事実は、夫の中に残ります。
そして次に同じ予定が入ったとき、前回の「できた」が、小さな支えになっているように見えるのです。
外食できた日は、我が家にとって一つの達成
強迫性障害の症状が強くなる前は、外食や電車での移動、人の予定に合わせることも、夫にとって特別なことではありませんでした。
ところが、日常の中に不安が増えると、以前と同じ行動にも多くの力が必要になりました。
妻から見れば「こんなことまで難しくなるの?」と思ってしまうこともありました。でも夫自身も、できないことへの悔しさや、どうにもできない苦しさを抱えていたのだと思います。
だから我が家では、
「今日は外で食べられたね😊」
という一日も、大切な成功体験になりました。
ほかの人にとっては何気ない出来事でも、昨日まで難しかったことに挑戦できたなら、それは夫にとって確かな一歩です。
妻も、できなかったことを数えるより、その日にできたことを一緒に喜ぶようになりました。
料理で知った「自分にもできることがある」
最近の夫にとって、特に大きな手応えになっているように見えるのが料理です。
以前は、自分の一日をこなすだけで精いっぱいだった夫が、自分から料理に挑戦するようになりました。
料理を作り終えると、目の前には完成した一皿が残ります。そして、それを食べた妻が喜びます(笑)😊
「自分にもできることがある」
「自分がしたことで、喜んでくれる人がいる」
そんな実感が、夫にはうれしかったようです。
料理を始めた詳しいきっかけや、最初に挑戦したメニューについては、料理の記事で紹介しています。ここでは、料理そのものよりも、「自分の役割を自分でやり切った経験」が夫の表情を変えていったことを残しておきたいと思います。
以前より生き生きと話す夫を見ていると、妻には瞳までキラキラしているように見える日があります😊
「できた」は次の挑戦の土台になっていた
以前の妻は、夫を支えたい気持ちが強く、先回りして手伝いすぎることがありました。
けれど、妻がすべて準備してしまうと、夫が「自分で考えてやってみる」機会まで少なくなってしまいます。
そこで少しずつ、すぐに手を出すのではなく、夫が自分で試す時間を待つようになりました。
すると、
- 自分で予定を考えられた
- 不安があっても出かけられた
- 一つの作業を最後まで終えられた
- 疲れたあとに休み、普段のペースへ戻れた
という経験が増えていきました。
一度の成功で、何もかもできるようになるわけではありません。調子によって、前にできたことが難しい日もあります。
それでも夫の中には、「前にもできた」という記憶が少しずつ増えていきました。
妻には、その積み重ねが、次の一歩を試してみる気持ちにつながっているように見えます。
どこまで手伝い、どこから夫に任せるのか。妻が悩みながら見つけてきた距離感については、こちらの記事に詳しく書いています。
▶ 強迫性障害の家族はどこまで寄り添うべき?|妻が悩みながら見つけた距離感
お猫さんがくれたのは、挑戦の間にある穏やかな時間
お猫さんを迎えてから、我が家の会話には笑いが増えました。
夫の体調のことばかり話していた時期とは違い、今では、
「またニャルソックしてる😂」
「なんでそんな寝方なの?」
と、夫婦の視線が自然にお猫さんへ向かいます。
お猫さんの存在が夫の変化を直接生んだ、と妻には言い切れません。でも、何かに挑戦する日も、思うようにいかない日も、家の中に笑える時間を増やしてくれました。
お猫さんを迎えてからの夫婦の変化は、別の記事でゆっくり書いています。
▶ 強迫性障害の夫とお猫さん|小さなセラピストがくれた穏やかな時間
次の目標も、これまでの「できた」の先にある
夫には今、「実家へ帰りたい」という目標があります。
長距離の移動や宿泊、人と会うことには、まだ大きな負担を感じる可能性があります。それでも、旧友やお父さんに会いたいという気持ちが、少しずつ強くなっているようです。
できることが増えると、せっかちな妻はつい、
「じゃあ次は?😊」
と先を急ぎたくなります。
けれど、主治医からは今のペースを保つことの大切さも聞いています。
大きな目標だけを見るのではなく、今日できたことを大切にする。休む日があっても、これまで積み重ねた経験までなくなるわけではない。
そう思いながら、今は急がずに見守っています。
まとめ|小さな成功体験が、夫の自信になっていった
夫の変化は、ある日突然起きたものではありませんでした。
一人で通院できたこと。外で食事ができたこと。料理を最後まで作れたこと。疲れても自分なりに立て直せたこと。
一つひとつは小さく見えても、夫にとっては「自分にもできる」と感じるための大切な経験だったのだと思います。
今も不安や強迫観念がなくなったわけではないと夫は話します。体調にも波があります。
それでも、夫の中には少しずつ「こんなときは、こうしてみよう」という自分なりの対処が増えてきました。
妻は夫を変えられたわけではありません。ただ、できないことばかりを見ず、夫が自分でできたことを一緒に喜ぶようになりました。
その積み重ねが、次の挑戦を支える自信につながっているように感じています😊
夫が初めて「何かできることあるのかな」と口にした、妻にとって忘れられない場面はこちらに書いています。
▶ 強迫性障害の夫から初めて聞いた「何かできることある?」|妻が変化を感じた瞬間

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